デブな女の子の体重を暴露する(小学校の思い出)笑えない笑い話

私はいじめっこだった。

陰でこそこそやるようないじめではなく、人前で盛大に公開していやっていたのだ。

小学4年生の時に、クラスにOさんという女の子がいた。

明らかに太っていた。

身長は140cmくらいだろう。

「Oは何キロくらいあるのかなあ?」

仲のいい男友達のSが聞いてきた。

「まあ、60キロくらいじゃねえか」

と私がこたえると、Sは

「そんなにないと思うよ。女は男より骨が細いから、そんなに重くないと思うよ。意外に50キロくらいなのかもよ」

といったので、

「ふざけるな。あんなデブが50キロのわけがないだろう?俺が真実を調べてやる」

とうことになった。

私はOの前に行き、

「おい、お前何キロあるんだ?」と聞いた。

〇は、

「お前バカか?そんなこと聞いて、こたえる女が世の中にいると思うか?」

Oは、目つきの悪いドラえもんのような風情でぽつりといった。

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「うるせえ」

と私はいい、その場はそれで終わった。

それから数日後、半年に1回ある身体測定があった。

公式に身長と体重が判明するわけである。

結果用紙が配られた後に、その日はたまたま体育の授業があった。

普段はダラダラしている私は、授業が終わるや否や、仲のいいSといっしょに、一目散に、教室まで

走って行った。

女子は別室で着替えるので、しばらく入ってこないのだ。

「とにかくいっしょについてこい」

無論、教室には誰もおらず、私はOのランドセルを開け、

B5サイズ二つ折りの健康診断表を見つけ、開いた。

「身長142センチメートル、体重72.3キログラム」

と書いてあった。

予想をはるかに超える現実の値を目にして私の膝は震えた。

「こんなに重かったんだ。女のほうが骨が軽いなんて、嘘じゃん」

けっこうな衝撃だった。純粋にびっくりした。

私は仲のいいSも、びっくりしていた。

「すごいね。こんなにデブだったんだ。笑えないね」

といいながら、Sは笑っていた。

話はこれで終わらない。

クラス全員が戻ってきて、教室はいつもの喧騒状態になった。

私はSをつれて、Oの前にいった。そして、クラス中にとどろく大きな声でいった。

「おい、O、みちゃったぞ。お前の健康診断の結果、おまえは72、3キロだよな?」

その時のOが一瞬ビクッとした時の表情は忘れることができない。

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Oは、しばらく黙っていたが、すぐに落ち着きを取り戻し、

逆に私をにらみ返した。

薄笑いを浮かべていた。

私は「勝った」と思っていたのであるが(これも間抜けである)

なんか「これからやられるのかなあ」、という予感がした。

「あたしはね、百貫デブだよ」

低い声で、恐ろしい顔で、私をにらみながらそう呟いたのだ。

完敗である。

これだけ、心底から「負けた」と思ったことは、その後の人生でもほとんどないと思う。

もしかしたら、人生最大の敗北だったかもしれない。

子供ということは割り引いても、同情の余地はないと思う。

まあ、子供とはいえ、現代でこういうことが明らかになったら、かなりの処罰を受けるだろう。

教師が日常的に暴力を振っていた時代である。(昭和51年、1976年ごろ)

いじめが悪いという認識さえ、たいしてなかったと思う。

やられるほうが悪いという時代だった。

まだ、戦争のにおいが残っていたのである。

実は53歳になった今でも、クラス会で彼女にあったりする。

今は、旦那さんと幸せに千葉で暮らしている。

この間も、のろけ話を聞かされた。

無論、彼女とこの話をしたことはない。我々の中では存在しなかったことになっているのだ。

まあそれでも事実である。

冷静に考えると、

私のやったことは間違っている。

でも最悪ではないと思う。

マザーテレサはいっている。

「愛の反対語は無関心」と。

私は、彼女とかかわっていた。それはそれで、彼女もうれしかったのではないかと思う。

よく、暴力教師のほうが、何もしない先生よりまし、という話を聞くがその通りである。

かかわっているほうがマシなのである。

いじめられっこが、いじめらるとわかっていても、いじめっこと関わろうとするのは、

人間の本能なのである。

人間は他人と関わらなくなったところで、人間でなくなるのだ。

リストカットをする子供は、流れる血をみて、ようやく自分が生きているということを認識できるのだ。

ある医者から聞いた話なのであるが、

「リストカットを繰り返す子供の両手を包帯でしばってできないようにしたりすると、高い確率で自殺してしまう。

よって、リストカットの対処法として絶対にしていけないのは、すぐにやめさせることなんです」

という話をいっていた。

なるほど、そうかもしれない。

私にとってはとても大きな出来事だったが、私と仲の良かったSでさえ、この話を忘れていた。

そんなものなのである。

でも、おそらくOは忘れていないと思う。

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