大相撲暴力問題を解決するには、しかることではない。


「無理辺にげんこつと書いて、兄弟子と読む」とはよくいわれた話である。
「1枚違えば奴隷同然、1段違えば虫けら同然」ということばも有名である。
ようするに、前頭11枚目の力士を、前頭10枚目の力士が奴隷として扱ってもかまわないということである。
最もコンプライアンスから遠かった世界が相撲界であり、上記の話は、
20年前までは、ほぼ常識である。
現在の親方は、ほぼ全員がこういう世界で育ってきたわけである。
稽古場でいじめで殺しても、不問だったわけである。
これが紙切れ一枚で変わるわけななどありえないのだ。
「よく言い聞かせて、指導しました」なんてことで、解決できると考えているほうが間違っているのだ。
特に、相撲の稽古は激しいので、いじめなのか、指導なのか、一般の人が見てもわからないものである。
稽古場でやれば、張り手でも、稽古場以外でやればビンタである。
その違いは曖昧である。
相撲取りになろうとする連中は、しっかり勉強しているよりも、体一つでのし上がろうとする気概をもった
若者であり、荒くれ者揃いで、気が荒いほうが向いているわけである。
そんな連中をまとめるのは容易であるわけがないのだ。
しかも、完全な身分社会を実現している数少ない業界である。
序二段までは下駄で、雪駄は三段目から、序の口は寒くても浴衣だけ、十両にあがるまでは給料も0である。
十両にあがったら突然給料が100万円以上もらえて、付け人までつくのだ。
この制度を維持しながら、コンプライアンスなんて、ちゃんちゃらおかしいと思う。
今回の貴ノ富士の件では、彼は殴るよりも、言葉でいじめていたそうである。
物覚えの悪い後輩を、にわとり、ひよこ、地鶏と呼んでいたそうである。
手を出さなければいいと思っていたのだろう。でもしっかり殴ってもいたそうである。
相撲教会は、人身御供として、貴ノ富士を引退させたいのだろう。
あの貴乃花の弟子であるし、現在の協会幹部からしてみれば、ちょうどいい見せしめである。

本当に、暴力根絶を目指すなら、付け人制度そのものを見直さないとダメだろう。
部分だけをいじろうとしても、うまくいくはずがないのだ。
差別を前提にできている組織なのに、根底を変えずに表面だけを変えようとしてうまくいくはずがないのだ。
相撲取りの暴力事件は、どんどん深く潜っていくようになると思う。
「これならば問題にならないだろう」というレベルを彼らが勝手に見つけるのだ。
そして、また繰り返されるのである。
相撲協会は、本当にごまかすことの天才の集まりである。日本型組織の典型である。相撲の決まり手でいえば、
肩透かしとか、猫騙しとか、はたき込み、みたいな取口の天才である。
この協会の理事長を、元お相撲さんがやっていること自体に問題があるのだ。
川淵三郎のような人に理事長になってもらって、根本的に変えるしか解決方法はないと思う。
プロ野球でさえ、コミッショナーは一般人がやっているのだ。
それが問題の根幹である。

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