最初に飼った猫は片耳だった。今でももう一度会いたい。

小学校3年の時、自宅の近所の工事現場で、
土方の人たちが何かをみていた。興味本位で近づいていくと、

一匹の子猫がいた。
黒白ブチの子猫だった。
おっさんが、いきなりその猫を私に抱かせた。
「持って行きな」といわれ、
そのまま自宅にもって帰った。
母は「お風呂場で洗いなさい」といった。
「あら、このこ片耳がないは。生まれたばかりの時に、怪我でもしたのかしら」
よくみると、左の耳たぶがなく、その部分はピンク色の肉がもりあがっていた。
私はまったく、気にならなかった。
彼はそれから、8年間我が家にいた。
最後の日は忘れられない。
彼は去勢をしなかった。
というか、去勢なんか、考えたこともなかった。
宦官じゃねえんだから。
そんなことできるかよ。
とかいって、メス猫は手術をしているので、
なんか矛盾しているかもしれない。
オスの本能で、彼が自宅に帰ってくる頻度はどんどん少なくなっていき、
そのころは数週間に一度になっていた。
くたくたになって帰ってきて、めしを食って、出かけていく。
いつもいっしょにいたのだ。
私の部屋のお気に入りの場所に横になると、
体から無数の蚤がこぼれてきた。
私はノミ取りくしで、それをとってあげた。
そして彼は家をでていき、
それが最後だった。

小さいころ、ボストンバックに彼をいれ(猫ケースなんて存在してなかった)
浜田山の自宅から中野のおじいちゃんの家まで連れていったことがある。
おじいちゃんに見せたかったからだ。
あとで、母に聞いたら、
「おじいちゃんは子供のときに飼っていた小鳥を猫にたべられたことがあって、猫は大嫌いなはずよ」
と教えてくれた。
そんなことは無論知らなかったが、おじいちゃんは、ご飯に鰹節をかけたものをつくってくれた。
孫が可愛かったのだと思う。

それでも8年我が家にいたわけである。

本当に彼には感謝している。
実はうちには、メス猫もいて、そのメス猫の間に子供がいたのだ。
五匹生まれたが、ほとんどが白黒ぶちで、かわいいからすぐに
もらいてが見つかった。
ただ、1匹、あまり模様がかわいくないこが、残ってしまい、そのこは
20年くらいずっといた。
お父さんにそっくりだった。
女の子で、しっぽの曲がり方まで同じだった。
今の私という人間をつくるために、彼がどれだけの影響を与えたのか、はかりしれない。
写真は自宅の仏壇にお袋がかざってある1枚だけである。
会いたい。

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