マクドナルドが、間違った英語表記の看板を出してる理由

英語の表記について

日本的英語と英語は似て非なるものである。例えば、ビールは日本語で、ビアが英語である。ややこしいのは、正しいものと間違ったものが混在しているところである。

先日、私の家の近所のマクドナルド明大前駅前店で並んでいたら、けっこう混んでいて、3つのレジが開いていた。ところが、突然1つのラインがクローズされ、店員さんがレジの前に札を出して、奥にいってしまったのであるが、その札に書かれていたのは「CLOSE」の文字であった。私はびっくりした。マクドナルドは米国系企業の代表である。街の洋食屋さんであればともかく、あのマクドナルドジャパンが英語表記の文法ミスをするなんて(大げさ)、これは深い理由がありそうである。というわけで、以下、順を追って説明する。

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CLOSE と OPEN について。

この言葉は、日本語になっているといっても過言ではい。何気につかっている言葉であるが、実は動詞として使用する場合と、形容詞として使用する場合には、活用が微妙に違ってくるのだ。そもそもこの言葉に、形容詞的用法と、動詞的用法があるなんて、意識することなどほとんどないはずである。日本語で意味は通じるが、実は異なった用法なのである。

動詞として使用するケース

最もわかりやすいのが、エレベーターのスイッチである。

「OPEN」「CLOSE」と記されているが、これは動詞の命令形です。「あけろ」「閉めろ」である。

機械に対して、命令形で指示をするという意味合いなので、動詞の原型を表記するので、

「OPEN」「CLOSE」なのである。

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形容詞をして使用するケース

お店が開いている時に「営業中ですよ」、または営業時間外で「閉まっていますよ」ということを告知する時に使用する場合は、それぞれ形容詞的な用法となる。

営業中の時は、

OPEN

であるが、これは、WE ARE OPEN. の省略形である。この場合のOPENは、形容詞として、「開いている」という意味である。これは全く問題ない。日本ではあまり見ないが、海外にいくと、まさにこの表記の札をよく目にする。

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問題なのは、閉まっている時である。

この場合正しくは

CLOSED 

でなければいけない。なぜなら、CLOSEは形容詞ではないのだ。動詞であるので、形容詞的に「閉まっている」という意味で使用するには、CLOSED にしないといけない。

正確には

WE ARE CLOSED. である。

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CLOSEでは、エレベーターの「CLOSE」と同様で、「閉めろ」と命令形なのである。お店が閉まっている時に、「CLOSE」と表記しているのは、「閉めろ」と命令しているわけで、意味になっていないのだ。

「そんな細かいことをいうなよ。意味がわかればいいじゃん」という意見もあるだろう。まあ、たしかにそれもそうである。

日本人の中で、「CLOSE」の表記を見て困る人は存在しないだろう。英語の詳しい人は、「あ、文法的に間違っている」と思う程度で、スルーするだろう。

誰も困らないといえば、たしかにそうである。

でも、今回の当事者は日本マクドナルドである。社長は米国人だ。多くの社員は英語ペラペラである。私がみた、「CLOSE」の札も、何人もの社員のチェックを経て、店頭に並んだにもかかわらず、こういうミスが起きていることにびっくりしたのだ。

街に出てみるとわかるが、個人営業の店舗札の半分くらいは、「CLOSE」の看板を使用しており、半分くらいは「CLOSED」である。だから、そんなに珍しいことではない。

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全く、別の話であるが、この間、ある店で会員登録で氏名を書かされたのであるが、

以下のようなものを出され、

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「氏名って書いてますけど、苗字ですよね?」と聞いたら、その店員は、苗字と氏名は同じものと思っていたので、それを説明すると面倒くさいのでスルーした。大手チェーンなら、文句をいうが、個人営業の店でいうのもなんである。まあ、この問題もこの程度の話なのである。

なぜ英語エキスパート企業である日本マクドナルドでこういうミスが起きたのか?

単純なミスではない。(と思う)これはけっこう深い意味があるはずである。

マクドナルドの正式な米国名は、

McDonald’s (メクドーナルズ)である。それを、「マクドナルド」という日本語に置き換えるのに、ものすごい議論があったわけである。日本人にはかなり難しい発音であり、どのような言葉を選択するかで、その後のブランドイメージは大きくかわってしまうわけだ。

とにもかくも、「マクドナルド」で決定し、今日まで続いているわけである。

日本以外の国で、「マクドナルド」という発音で意味が通じる国はないだろう。それくらい原型とは違う言葉になっているのだ。それでも日本市場に受け入れるために、「マクドナルド」という独自の言い方を開発し、そしてその企業を世界トップにまでしてきた自負が彼らにはあるわけだ。

マクドナルドが日本に進出した1960年代に、はじめて店舗を営業した時にも、おそらくこの「OPEN」と「CLOSED」の札を作成したはずである。舶来(死語)のハンバーガーを売ろうとしているのに、日本語で「本日の営業は終わりました」なんて札を出していたらかっこ悪いから、やっぱり横文字にしようという話になったのだと思う。

当時の日本人の英語力は、現在と比べては遥かに低かったと推測できる。

CLOSE と CLOSED の違いなど、ほとんど理解されることもなく、それよりもCLOSEのほうが一文字少ないし、デザイン的にもすっきりするし、こっちのほうがいいと思ったのだと思う。

それが、令和の時代になっても、続いているというのが私の推測である。

本当なら、マクドナルドジャパンもどこかのタイミングで、「CLOSED」に変更するべきなのであるが、英語が詳しい人であればあるほど、「これは日本流のやりたかなんだ」と、思い込んでしまって見過ごしたのではないだろうか。大企業になればなるほど、過去の習慣を変更するのは、ものすごい労力がいるわけで、仮にすごいパワーをつかって、「CLOSE」から「CLOSED」に変更しても、売り上げは1円も変わらないので、「変えよう」という行動につながらなかったのだと思う。

もし誰かが投書でもすれば、変わったかもしれないが、そういう人もたまたまいなかったのだろう。

そういうわけで、奇跡的に残っているマクドナルドのこの看板を見にいこう。でもけっこう大変である。なぜなら、見れるタイミングは混雑時に限定されるからだ。見れたら、かなりラッキーである。多分その日は、いいことがあると思う。

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