当時男子は学校で大便ができなかった
1966年生まれである我々の世代の人間はみんな同じような経験があると思う。
現代なら社会問題になるかもしれないが、当時の小学生の男子は
学校で大便ができなかったのだ。
無論、トイレは存在した。
でも、大便しにいくと、大勢に冷やかされ、「あいつうんこするぞ」とか
いわれて、見物されるのである。
もしかしたら、私の小学校だけだったのかもしれないが、
本当にひどかった。だから、頭のいいやつは、どうしても行きたい時は
授業中にいくのだ。そうすると、誰も追ってこない。
でも、次の休み時間に「お前、卑怯な手をつかったなあ」とかいわれるのだ。
どこが卑怯なのだろう?でも、当時はそんな感じだったのだ。
Nはすごい男だった。
Nだけは違っていた。トイレに行く時に、宣言するのだ。
「みんなうんこするから、ついてこい」というのだ。
そうすると十人くらいの男子がぞろぞろと、一緒にトイレにいき、
「よく見てろよ」といって、戸を開けたまま、和式便所で脱糞するのだ。
人間が脱糞するのを見たのは、赤ちゃん以外ではN君だけである。
あまりのことに、じっと見入ってしまったのを覚えている。
みんなN君のことは一目おいていた
「すげえやつだ」とみんな思っていた。相変わらず、他の多くのやつは
トイレにいけないでいた。この時は女が羨ましかった。どっちだか、わかんないからである。
もしかしたら、当時の常識だったかもしれない。
学校で大便をすることは、校庭を裸で歩くのと同じくらい恥ずかしいことだったのだ。
今はどうなっているのだろう?
私の小学校は、東京都杉並区立浜田山小学校である。まあ、都内の一等地に
あったわけである。あそこだけが例外だったのだろうか?
それはよくわからない。もし現代で同じようなことをしているやつがいたら、
(トイレに行くことを非難するやつ)強烈な指導をしてほうがいいだろう。
あれは拷問である。