経験がないのに嘘をついてキャディをやった話

ちょっと笑える話

大学生時代、アルバイトでキャディをやっていた

静岡県の御殿場界隈にあるゴルフ場でキャディのアルバイトをやっていたことがある。そこは、隣接する二つのゴルフ場があり、1つはメンバーコースで、1つはパブリックコースである。メンバーコースはキャディとして、主に主婦の女性がつくのであるが、パブリックコースのほうは、近所の高校生などがバイトでキャディをやっていたのである。1980年代は現在と異なり、セルフでのプレイがほとんどなく、キャディなしのゴルフはほとんど存在していなかった時代なののである。

最初は研修を2回受けるのである。1回3000円もらえる。

当時大学生だった私は、それなりにゴルフの経験があった。本格的にはやっていないが、コースにも数回出たことがある。まあ、なんとかプレイできる程度のレベルであった。それでも、プレイしたことのないコースでいきなりキャディはできないわけである。当然のごとく最初は研修を受けるのである。先輩の優秀なキャディについて、色々と教えてもらうのである。このコースはけっこうテキトーなゴルフ場だったので、誰でも2回研修を受ければ仕事ができたのである。今にして思うと、「たった2回でいいのか?」と素直に思うのであるが、そういうシステムだったのである。研修が終われは、だいたい1回て取りで8000円くらいもらえるので、かなりいいバイトだと思う。18ホールでその値段で、プラス9ホールやると、1万2000円くらいもらえるのである。時給に換算すると、2000円くらいである。高校生からみれば、かなりおいしいバイトである。近くに大学がなかったので、高校生ばかりであったが、大学があれば、大学生だらけになっていたはずである。

私は無謀にも経験0なのに、嘘をついて、やってしまった

その日は混んでいた。キャディの数が足りなかったのである。本当は私は研修なのであるが、研修を担当できる優秀なキャディもいない状況だったのだ。キャディマスターがやってきて、「君は経験があるのか?」ときいてきた。ここのコースは2つあり、そっちのコースは行ったことさえないのであるが、どうせやるならきちんと金がもらいたかったので、「大丈夫です。1回やったことがあるのでまかせてください」と嘘をいい、初仕事になってのである。「なんとかなるだろう」とそういう度胸はあったのである。

見たこともないゴルフ場で、いきなりキャディをやるということ

ご存知のように、キャディの仕事というのは、打つ方向を指示したり、グリーンの芝目を読んだり、クラブを運んだりするものである。なにしろ、生まれてはじめてのゴルフコースなので、何もわからないわけである。全てはヤマカンでやってみようと決めたのである。

バレないように、自信満々にやった

私がついたのは、会社の同僚ときている四人組のおじさんだった。このコースは初心者向けのコースなので、翌週の会社のコンペのために、あまりうまくない人が練習のためにきているとのことだった。「キャディさん、私たちあまりうまくないので、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」といわれたので、私は内心「しめた」と思ったのである。なぜそう思ったかというと、初心者か上級者のどちらか極端のほうがいいからである。あまりにも下手であれもば、芝目自体についてもよくわからないわけで、あまりにも上手であればキャディに聞いたりしないからである。問題なのは、中くらいのレベルの人なのである。この4人の中で、初心者の3人は安全パイで、ややうまいもう一人の男性だけが要注意だと察したわけである。

富士山の近くにある、高麗グリーンなので、芝目がきついグリーン

このコースは富士山の麓にあり、しかもグリーンは高麗芝である。最近では高麗グリーンのコースは減ってきたが、当時は主流だったのである。ベント芝と異なり、高麗芝は芝目がきつくて、グリーンの芝目を読めないと、ゴルフにならないのだ。ようはキャディの力量が問われるコースなのである。極端な話でいえば、ベント芝のグリーンであれば傾斜だけを読むことができればいいのであるが、高麗グリーンは傾斜と芝目の両方を読んで相殺しないといけないのである。例えば、下り傾斜であっても、逆目であれば強く打たないといけないのである。はじめて回るゴルフ場で、芝目を読むことはほとんど不可能であった。しかも、富士山の近くにあるゴルフ場は、「富士から流れる順目の法則」というのがあり、富士山方面に向かって逆目になっているのである。もっというと、すべてがそうであればまだいいのであるが、場所によって異なるので本当にややこしいのである。

くたくたになりながら、18ホールを終え、最後に言われた言葉

それでも何とか18ホールをまわり、なんとか仕事を終えることができた。最後に一番うまい人に、「あんたキャディとしてはまだまだだね」といわれたのであるが、思わず「その通りです」と答えそうになってしまった。でも、正式にクレームをキャディマスターに言われたわけではなく、何とか初日を終えることができたのである。このコースは、仕事終了後に一人でプレイしてもいいことになっているので、それから一人でハーフを回らせてもらったのである。

結局、けっこうな額のお金を稼ぐことができた

大きな試練というか、大変な思いを乗り越えたので、それからの仕事は楽なものだった。もともとゴルフは好きなわけで、芝目を読む力もメキメキとついていった。不思議なもので、毎日グリーンを見ていると、肉眼で芝目が見えるようになってくるのである。実際には光の加減でわかるので、晴天でないとわかりにくいのであるが、結構正確に芝目を読めるようになっていった。このバイトのいいところは、予約をしなくていいのである。行きたい時にいって、空いていればできるのだ。早めの時間にいけば、ほぼ100%の確率で仕事にありつくことができた。大学1年生の夏休みは、キャディばかりをずっとやっていたので、20~30万円くらいは余裕で稼いだのである。

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