特殊学級の小1の女の子を保護した話

日常の出来事

先日、近所の神田川沿いの道を自転車で走っていたら、大泣きにしている女の子に遭遇した。黄色い帽子をかぶって、ランドセルを背負っていたので、帰宅途中の小学生だとわかった。

「どうしたの?」

「先生がいなくなっちゃったの」

「学校はどこ、おうちは近くなの』

「なかよし学級、1年生・・・おうちはわかんない」

大泣きしているので、何をいっているのかあまりよくわからなかったが、下校する時に、みんなとはぐれてしまったようである。学校の方向も、おうちの方向もわからないといってるし、まわりに同じ小学生らしい人影もなく、私はすぐに携帯で110にかけた。

「どこにお電話したの?」

「おまわりさんだよ。これからやってくるから、あとでパトカーに乗せてくれるって。パトカーに乗ったことある?」

「ないよ」

「よかったね。パトカーに乗れるよ、すごいねえ」

「本当、パトカーに乗れるの?なんかうれしい」

といってニコニコになってくれたのであった。警察官が到着するまで、20分くらいかかったのであるが、その間はけっこう楽しい時間を過ごすことができた。最初は、ずっと「あっちむいてほい」をやり続けた。こんなにウケるのかというくらい、大喜びをしていた。10分くらいやり続けたが、飽きるどころかドンドンエスカレートしていって大興奮しているのである。ゲームが面白いというよりも、おっさんとコミュニケーションすることが楽しかったのだと思う。もしかしたら、おっさんという認識もなかったのかもしれない。自分にかまってくれる人ということだけだったのかもしれない。

しばらくすると、「こわいよお」といって私にしがみついてきた。散歩をしている犬をとてもこわがっていたのだった。

「こわいよう。かまれるよう」

「大丈夫だよ。あのワンチャンはおりこうだから、噛んだりしないよ」

といってみたものの、本当に恐いようだった。飼い主の人は、嫌な顔をしてサッサといってしまった。一見すると、何も問題のない普通の女の子なのであるが、やっぱりちょっと違っていたような気もする。欄干にクモの巣をみつけで、「クモの巣が怖いよう」とまた怖がっていた。

30分近くかかって、ようやくおまわりさんが来て、その子とはハイタッチをして別れた。とても楽しい時間だったが、正直なところヘトヘトに疲れてしまった。小さい子供を相手にするというのは本当にパワーが必要なことである。忘れかけてしまっているが、我が家の二人の息子が小さい時はもっと大変だったような気がする。この女の子のご両親も毎日クタクタになっているのだろうと、想像したのである。ヤマカンでわかるのであるが、きっと優しいご両親や、先生たちに囲まれて過ごしているのだと感じた。彼女の中から、幸福なオーラが出ているのを感じたからである。

そういえば私も小1のころに同じような経験をしたことがある。ちょっと遠くの公園まで一人で自転車で行ってみたら段差のある場所に行ってしまい、自転車が動かなくなってしまったのだ。どうしていいかわからなくなり、泣きながら自転車を引き上げようしたがうまくいかない。ちょっと離れたところで大学生くらいの男性が私を遠くで見ていたが、何もしてくれなかったのだ。結局自力で脱出できたのであるが、あの時の寂しい気持ちは今でも忘れられない。もし、あの時、彼が優しい言葉をかけてくれていたら、私はもしかしたら別の人生を歩んでいたかもしれないとさえ思う。

この女の子に出会ったことは、偶然だとは思わない。私に何かを気づかさえてくれるために、見えない力が導いてくれたのだと思う。そしてまたこの女の子に私のような大人とのふれあいを経験させるために起きたこともまた、必然だったのだと思う。もう二度と会うことはないかもしれないが、一期一会とはこういうことを言うのだと思う。楽しい一日だった。

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