私が小学生の時、友人の家にいって友達を呼び出す時は、
自宅の前で大声で「たなかくん」と叫んで呼び出すのが普通だった。
その家に呼び出しブザーがあっても、基本的には押してはいけないというような
不文律があったと思う。
そもそもブザーがない家がほとんどだったのだ。(1970年代の東京)
事実私の自宅には呼び出しブザーがあったのであるが、それを押す友人は皆無だった。
家に訪問すると大人であれば「ごめんください」というのが普通だったのだ。
ドアを叩けばいいのではという意見もあるが、当時の日本の家は
引き戸が多かったので、叩けないのである。(サザエさんの家もこんな感じである)

ゆえにたまたまその家にブザーがあったとしても。それを使用せずに
大声で叫ぶほうが、普通だったのだ。
当時は事前に電話をかけて、「これから遊ばない?」なんてする習慣は
なかったのである。
「たなくん、あそぼ」と家の前で叫ぶのだ。
そうすると、お母さんがでてきて。
「あきらは今勉強中だから、またこんどね」とかいわれてしまうのだ。
団地などに住んでいる場合は、さずがに叫んだりはしなかった。
そういう場合だけは、家の前に行き、ノックをするかブザーを押したものである。
アパートや団地に引き戸はないからである。
家の前で大声を出すのは、今にして思うと、かなり間抜けな感じがする。
現在の子供が同じことをやったら、違和感が満載だと思う。
常識というのは変化してくものだ。
昔は、電話がなって出てみて、相手が気に入らない相手だと、
「ガチャ」と切ってしまったものであるが、今はナンバーディスプレイがあるから
そんなことをする人はいないのと同じである。