新宿駅がリニューアルされて、西口と東口が駅構内でつながって便利になったわけである。
それまでは、西口から東口にいくためには、必ず外側から小便横丁(思い出横丁)
の横にある地下道
を通らなければいけなかったのが、もうあの汚い地下道をしようしなくても
よくなってしまったのだ。時間の短縮にもなるし、雨に濡れることもないわけである。
結果として、小便横丁の客は減るだろう。

あの道を通って、「じゃあ寄っていくか」という客がいなくなるのだから
当然である。コロナの影響もあるが、彼らにとってはダブルパンチである。
喜ぶのは、人通りが減って、静かに眠ることができるホームレスくらいだろう。
あの地下道には、私が子供のころには、戦争で手足を失った人が、
ハーモニカを吹いていて、お金をもらっていたものである。
ちゃんと軍服を着ていたっけ。

傷痍軍人(しょういぐんじん)というのだ。
戦争で怪我をした元軍人という意味である。
私の祖父も傷痍軍人だったのだ。支那事変で、ロシア人に鉄砲で撃たれ、
胸に大きな傷跡があった。
「5cmずれていたら、死んでいたよ」といっていた。
私は、祖父が少尉だと思っていたのであるが、傷痍だと知ったのは
かなり大人になってからだった。
実際には、伍長だったそうである。