九人脱走、式秀部屋問題でわかる相撲部屋の経営について

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相撲部屋経営はビジネスである。ボクシングジムの経営は、世界チャンピオンを誕生させないかぎり、ほぼ黒字化達成は不可能なのであるが、相撲部屋経営は全く違うのである。日本相撲協会という大金持ちの団体が経営しているので、仕組みが違うのである。簡単にいえば、所属力士の数を増やすだけで、十分に経営できるようになっているのだ。とにかく力士を登録さえできれば、日本相撲協会から様々な名目でお金が入ってくる仕組ができているので、十両以上の関取がいなくても、部屋としては十分経営ができるようなシステムになっているのである。その仕組をうまく利用していたのが、式秀部屋なのである。この部屋は十九人も在籍する大部屋なのであるが、最高位は三段目なのである。関取がいないわけである。いわば中間管理職がいない職場のようなものなのだ。親方は存在しているが、社長なので、後は誰も気を使う必要がある人間がいないので、力士にとっては居心地のいい場所なのである。親方にしても、十九人も弟子がいるので、年間に相撲協会から、4000万円くらいの支払いがあるのである。力士は大食いだから、食費が大変だと思うのは早計で、弟子の家族や後援会などから多くの差し入れががあるので、あまりかからないのである。その4000万円以外にも親方は給料がもらえるので、弟子が多い部屋はけっこうホクホクなのである。特に式秀部屋は茨城県の龍ケ崎市にあるので、土地代はタダのようなものである。住居費もほとんどかからないので、うまくやれば毎年、2000万円くらいは儲かるのではないだろうか。弟子にしても、辛い先輩からのしごきもなくて、和気藹々と楽しい相撲が取り続けらるのだから、そんなに悪くないのである。本気で強くなろうなんて、考える力士はそもそもこういう部屋を選択するわけがないのだ。小兵力士の炎鵬は、あの白鵬に弟子入りし、文字どおり血の出るような稽古を続けているから関取になれたわけである。すべての力士が関取を目指しているわけでもないのである。そういうニッチな環境を維持していたのに、ここのおかみさんが、問題を起こしてしまったわけである。彼女の考え方は2つである。一つは、入ってくる収入が同じなのであれば、支出を減らせば利益が出るという考えである。弟子たちに古米を食わせ、後援者などに新米を送るなどしたわけなのである。弟子の小遣いも減らしたわけである。2つめは、やる気のない弟子たちに、わけのわからない指導をしたのである。もっとハングリーになって、出世して関取を目指せとハッパをかけたのだ。それが不適切な方法だったのである。例えば、「小遣いを減らして発奮させる」とかである。彼女としては「一石二鳥」だと思ったのであろうが、そんなに世の中は簡単ではないのだ。それで集団脱走事件になってしまったわけである。一言でいえば、とても浅はかな女性なのだと思う。考えていることもよくわかるが、世の中にいるダメな上司の思考回路の典型なのである。相撲は相対的なものである。どんな状態でも関取の数は決まっているので、現在存在している力士の上位の何人かが関取になれるシステムなのである。仮にすべての力士が実力をあげても、関取になれる力士の数は決定されているので、それ以上増えることは絶対にないのである。稽古を継続できる程度の力士をとにかく集めればそれでいいという考えもあるのだ。しかも、現在は危機的に、新弟子になろうとする少年が減っているので、一人でも多くの人に参加してもらいたいというのが協会の本音なのである。「本当にあのおかみさんは余計なことをしてくれたな」と多くの相撲協会関係者は思っているのである。野球などでは、金が全くもらえなくても独立リーグなどでアルバイトをしながら練習している人も珍しくないのである。一方、相撲協会は、相撲部屋に入門さえしてしまえば、アルバイトなどすることもなく、相撲を取り続けることができるわけで、これを幸福だと思っている人も多いのだ。しかも協会には金が余っているので、十分に支払う能力もあるし、問題ないとえば、問題ないのである。

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