大坂なおみのアイデンティティは日本人ではなく黒人である

事件の深読み

単一民族である日本人は、人種問題にとても鈍感である。よく理解していないといっても過言ではない。日本にいるたくさんのハーフの人たちを見て、「我々はみんな同じ仲間だ」なんて風流なことを思っている人がほとんどだろう。大坂なおみは国籍は日本かもしれないが、父親は黒人であり、日本語も流暢とはいえないわけである。世界中の人は、彼女を黒人女性として認識しているが、日本人としては認識していないのである。そしてまた彼女自身も同じ考えを持っているわけなのだ。黒人の定義は、親戚にひとりでも黒人がいると黒人になってしまうのである。どんなに肌の色が白くても、黒人なのである。それが世界の共通認識である。かつて米国では奴隷制であり、白人の男が自分の家にいる奴隷の女性と関係を持ち子供ができると、多くの白人男性は、自分の子供なのに、その子供を単なる「奴隷」として扱ったという。それはむしろ普通のことだったわけである。現代ではなく、100年くらい昔の話である。そういう社会風土だったのだから、どうしようもないわけである。現代人の感覚でいえば、自分の子供なのだから、肌の色が何色でも関係ないと思うわけであるが、異なる価値観が支配していた時代なのである。少しづつ、人権を獲得していった黒人であるが、そのアイデンティティは日本人とは全く異なるわけである。私も小学生の時に、米国のテレビドラマ「ルーツ」を見て衝撃を受けたわけである。アフリカから奴隷船で米国に連れてこられ、殴られ蹴られ、飼い慣らされて奴隷になっていく主人公が、ようやくその家から逃げれそうになって捕まって、逃げれないように足先を斧で切り落とされるのだ。ほんの少し前の話なのである。日本が江戸時代で幸福に暮らしていた時代に、米国ではそんなことが行われていたのである。大坂なおみは、そういう先祖をルーツに持つ人間であり、お気楽な日本人とは全く異なるアイデンティティを持っているのだ。結果的にこれから彼女は日本のCMに出演しなくなるような気がする。スポンサーは、そういう問題を面倒臭いと思うからだ。商売でやっているのだから、当然といえば当然である。かといって、大坂なおみのアイデンティティ問題に付き合うこともないだろう。なぜなら、商売だからだ。大坂なおみのツアー大会ボイコット問題は、お気楽な日本人に、冷水をぶっかけてくれた、すがすがしい事件である。

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