インターネットが存在しない時代、ケーブルテレビはそれなりの地位を築いていた。
当時は、地上波とケーブルテレビの二択しかなかったわけで、
電波がうまく届かない地域であれば、選択肢はないわけである。
私は西暦2000年ごろ、米国に住んでいたが、米国で
ケーブルテレビに加入していない家庭のほうが少ないくらい、
普及していたのに驚いたものだった。
ところがインターネットが驚異的な速さで普及してしまい
ケーブルテレビの将来は暗雲が漂っているというか、
絶望的な状況なわけである。
これから新たにケーブルテレビと契約する人は、ごく少数である。
宅配の新聞と状況はとてもよく似ている。
いろいろなジャンルのテレビが見たい人は、huluやネットフリックスや
アマゾンプライムと契約するほうがはるかに安いし簡単なわけである。
それを一番よく理解しているのが、ケーブルテレビ会社なわけである。
現在も本気で新規事業を模索しているわけである。
ケーブルテレビ事業をやりながら、新しい事業を探すというのは
かなり難しい話である。
アナログ写真がなくなってしまったあとも、大きく成長している富士フィルムのよう
にはなかなかいかないものである。多くの企業は、破綻してしまった
コダック社のような運命を辿るものである。
かつて娯楽の少なかった時代、テレビというメディアは相対的に大きな価値があった。
ケーブルテレビもそれにつられて大きく成長していったわけである。
ネットの普及は、既存の企業をなくしてしまうことになるわけである。
でも、それは馬車が車になったような話で、悪い話ではないのだ。
私の意見では、ケーブル会社はスパッと現在の事業には見切りをつけたほうがいいと思う。
新事業をやるなら、新会社でやったほうがはるかにうまくいくものである。
いいところを残して、悪いところを改善するという考えは、得てしてうまくいかないものである。
でも、一日中テレビばかりを見ている人にとっては、ケーブルテレビは
とてもいいものである。画質はいいし、チャンネルは多い。
でもそんな人は、現代社会においては、とても少数なのである。