日本ハムファイターズの斎藤佑樹を忘れている人は少ないと思う。
甲子園の決勝で戦い、敗れた田中将大は、超一流のメジャーリーガーとなったのと対照的に、
斎藤佑樹はプロ野球選手という名前こそあるが、満足な結果は出せずに、いつ解雇されても
おかしくない状況にいるわけである。
まあ、ありていにいえば、悲劇のヒーローといえなくもないが、
単に、プロ野球選手としての実力がなかったといってしまうこともできる。
無論、今後、文字通り奇跡的な活躍を見せる可能性が0ではないだろうが、
かなり低いと見るのが普通である。
なんか、ちょっと違うが、よく似ているんじゃないかと思う人がいる。
長嶋一茂である。
プロ野球界のナンバーワンレジェンドである長嶋茂を父に持ち、
鳴り物入りでプロ野球界に入ったが、満足な活躍は一切することなく、
現役を引退し、その後、タレントとしてブレイクし、
現在では押しも押されぬ一流タレントとしてテレビで活躍しているわけである。
斎藤佑樹は、おそらく数年以内にプロ野球選手を引退し、
新しい人生がはじまるはずである。
そこで、普通に努力したら、あっというまに、長嶋一茂くらいのタレントになれる
素質があるように感じる。
別に、タレントにならなくても、なにかビジネスをはじめれば、その知名度から
広告費〇円で、知ってもらえるのだから、とてつもないアドバンテージである。
大学を卒業して勉強もある程度してきたわけなので、
頭もいいはずだ。
条件はただひとつだけ、彼がまともなことを真剣にやり続けることだけである。
元プロ野球選手には、清原和博のように覚せい剤に溺れてしまったりする輩が
多数存在する。
甘い、悪い、誘いも山のようにやるはずである。
それさえ乗り越え、まともなことをしっかりやりさえすれば、斎藤佑樹は
ほぼ100%の確率で成功が約束されているわけである。
もしかしたら、そんなことも考えて、彼は高卒ではなく、
大学を卒業してからプロ野球選手になる道を選んだのではないかと思う。
理屈ではなく、体感的にそう感じたのだと思う。
人間には本能があり、「なんとなくこっちのほうがいいな」と思える時があるのだ。
それにきちんと従って生きている人に失敗は少ないものである。
例えば、金持ちの娘で、その親が乗り気の縁談があったとする。
自分はその女性を好きではないのであるが、理屈で考えると、結婚したら
すべてがうまくいくような気がして結婚したとする。
たいていこういうケースは破綻するのだ。
自分の心に湧き上がる感覚を信じ、それに従っている人だけが、成功するように
この世はできているのだ。
例外は一つもない。
一時的にうまくいくように見えても、それは仇花だ。
斎藤佑樹は、もうすでに引退してしまっても不思議ではない成績である。
でも彼がやめないのには、彼の中で、引退したくない何かがあるのだろう。
浅田真央が、メダルの可能性すらなくなった状況で、迫真の演技をして、
自由演技最高点を叩き出した時、彼女は本当のレジェンドになったのだ。
金メダルよりも価値のある演技だと、多くの人が思ったので
それで勝利なのである。
斎藤佑樹は、もし今年、2勝か3勝くらいすることができれば、
間違いなく大ヒーローになれるわけである。
もしその後引退したとしても、バラ色の人生である。
むしろ羨ましいとさえ思うわけである。
彼のような苦労をしている人間がすべて幸福になれる社会っていいと思う。
がんばれ、斎藤佑樹。